【完】ひとつ屋根の下で。
「ヒカル、アンタパソコン打つの遅いよな」



「俺、これキライ」



ヒカルは、ソファーで体はくつろぎながら、膝の上にノートパソコンを置いて課題をしている。



細く長く、骨張った指がゆるりと動く。これならアタシの方が早い。パソコンは事務の仕事でも使うし、苦手じゃない。



「じゃあ代わりに課題して」



「無理、文面意味不明だし」



アタシはゆっくり動く指先から目を離し、麦茶を飲み干した。



「んー、ケチ」



ヒカルはよく聞かないと分からない微妙に甘えた声色で言う。



きっとこの変化に気づけるのは、アタシくらいだという自信がある。



まあ、一緒に住んでるし、一緒にいる時間も長いからな。
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