【完】ひとつ屋根の下で。
口の中に、さっきまで食べていたイチゴの味が広かった。
唇に、熱い、柔らかな感触。
もしかしなくても、ヒカルにキスされてる。そう自覚せざるを得ない。
「この間は、しそびれたから」
唇を離したヒカルが、アタシの耳元でそう囁いた。
「なんで、アタシにキスするんだよ……意味わかんねーんだけど」
おかげで、思えて来たじゃん。
やっぱり、このあったかい、不思議な気持ちは、アンタへの『好き』なのかもってさ。
「別に。キスしたいからした。それだけ」
ヒカルはそれだけ言うと、再びイチゴ味のキスを私に送ってくる。
アタシの口の、かき氷のイチゴ味を、くまなく、全部取ってしまうように。
熱い、ヒカルの吐息が、アタシを溶かす。