【完】ひとつ屋根の下で。
Don't cry
朝目が覚めて、アタシは昨日の蒸し暑い夜を思い出した。
思い出すだけで、顔が熱くなって額に汗が滲む。
ドアを開けると、相変わらずヒカルはのそっと歩いてケツを掻いていた。
「おはよ」
「ん、おはよ」
変わらない表情、変わらない何時もの挨拶。
ヒカルにとっては、あの時はアタシにキスしたいからキスした。
だから、気まずいこともなければ恥ずかしがることもないのだろう。
だから、アタシだって、気にすることなんてない、と心に言い聞かす。
「苺、今日は仕事は休みなんでしょ?」
「あ、うん」
祝日だからそういえば休みか。すっかり忘れてた。