【完】ひとつ屋根の下で。
《島本と申します。輝さんに代わって下さい》



アタシはそう言われ、一旦保留にし、ヒカルを呼ぶ。



「ヒカルー、電話」



アタシが呼ぶと、ヒカルがのそのそと近寄る。



「電話か鳴るなんて、随分珍しいね。誰?」



「えっと、島本さん、だって」



アタシが言った瞬間、ヒカルの顔が明らかに変わった。



無愛想、なんだけど、なんだかただならぬ冷たいオーラを出している。



アタシは、自分の体中に汗が噴き出ているのが分かった。



こんなに怖いヒカルは初めてで、戸惑って体が硬直する。



「ひ……ヒカル?」



微かに出た、アタシの乾ききった声に、小さく肩を揺らすヒカル。



しかし、決して振り返らない。固定電話の方を向いたまま。
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