【完】ひとつ屋根の下で。
「苺、部屋に戻ってくれない?」



ヒカルのその冷たい声、にビクンと反応することしか出来ないアタシ。



その言葉に、従わなければならない。本能的にそう思った。



部屋へ戻り、ドアを閉めてしばらくすると、不安が更に募る。



「俺が何故行く必要がある!」



今まで聞いたことない、ヒカルの強い怒鳴り声が響いたから。


「アンタに学費を出してもらってるのは感謝してるけど、それとこれとは別だろ?」



島本さん、という人はヒカルの親族みたいだ。



だけど、ヒカルの対応からすると、あまり良好な関係とは思えない。



今まで、ヒカルの大きな声なんて、聞いたことなかった。



いつも、どちらかというと無感情な喋り方だし、優しい、温かいとは思うことはあっても、怖い、なんて感情初めてだ。
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