【完】ひとつ屋根の下で。
「この、間の、電話の人……訪ねて来たよ」



アタシが呟くと、明らかにヒカルの目の色が変わった。落胆、恐怖、怒り。どれも、きっと正解。



ヒカルは、凄い勢いで菓子折りを地面に叩き付け、何度も踏み付けた。



アタシはその光景があまりにも怖くて、動けない。この間みたいに、体が硬直する。



まるでヒカルじゃないみたい。こんなの…やだ。



何度も踏み付け、箱だったものはベシャリと潰れていた。



「もう……止めろよ!こんなのヒカルじゃないっ!頼むから、止めてくれよ!」



アタシは瞳を閉じて、耳を塞ぎ、全てを遮断した。



そんなアタシの手に、ふわりとヒカルの手が重なり、手が耳から離される。



「ゴメン、苺、ゴメン……」



ヒカルの抑揚のないけど、いつもの心地良い声が耳元に響いた。
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