【完】ひとつ屋根の下で。
「……おい、ヒカル!入るよ!」
アタシはバンっとドアを勢いよく開く。
すると、風呂場のタイルに倒れたヒカルがそこにはいた。
「ヒカル!しっかりしろっての!」
熱気のある空間にも関わらず、真っ青な顔色に冷たい体。
咄嗟に呼吸と脈を確認したが、止まってない。気を失ってるみたいだ。
アタシは、洗面台のバスタオルを二枚取り、ヒカルの下半身に巻き付け、肩にかける。
アタシよりずっと体格のいいヒカルを肩に担ぎ、リビングまで引きずるように歩いた。
ドクンと感じるヒカルの心臓。
それが生きてる証拠だ。大丈夫。落ち着け、アタシ。アタシが冷静でいなきゃ。