【完】ひとつ屋根の下で。
「何だ、何だよ、これ……」
この歯形が、きっとヒカルの過去に何か関係あるんだ、とアタシは直感的に悟った。
ヒカルは、一人で抱え込み切れない程の何かを持ってる。
『夜、眠れないんだ』
そんな言葉から、見えはじめたヒカルの傷。
きっとヒカルは何かに怯え、無意識のうちにSOSを出してたんだ。
何もない、穏やかな日常の中で、馬鹿なアタシに向けて。小さく、か細く、断片的に。
なのに、アタシときたら……馬鹿にも、程がある。なんだよ、これ!
赤黒の歯形、島本という名前、夜眠れない、生みの親という含んだ言い方。
全てはSOSを含んだキーワードだったんだ。
ヒカル、気付くの遅すぎて、ホントゴメン。
目覚めたら、無理矢理にでも聞き出すから。