レモン・マジック


私が叫んだのも、
時すでに遅し。


周りの人は私の声に
気付いたみたいだけど
走っている男の子が気付かずに
ボールにつまづいた。
そしてそのまま転倒してしまった。


「きゃあ…!」
「おいっ斗馬…!」


部員たちの声がグラウンドに響く。
私も思わず校庭で倒れてる彼に駆け寄った。


「だ、大丈夫ですか…!?」
「えっと、あなたは?」
「あ…1年C組の飯島魚月です。私保健委員だし、連れて行くの手伝います」


良かった、
こんなときに適当に入っといた保健委員が
役にたってしまった。


他の部員の男の人二人が
転んでしまった彼を支えながら
3人で保健室へ向かう。



「ごめんなさい、私が早くボールに気付いてれば…」
「いやいや、俺らも気付かなかったし!」
「喋ってたからなあ…」
「だから飯島さんのせいじゃないよ」


部員の人達はそういうと
私に優しく笑いかけてくれた。

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