アキバ特捜部!? 犬インフルぱにっく
ヨースケのケータイが鳴った。

「アネキ?」

ヨーコの声は疲れているようで、

かすれている。

「ヨースケ、

 今どこだ?」

ヨースケは、なんとなく

ナツに聞かれてはいけない気がして、

非常階段に出た。

陽の名残りがあったが、

ビルの間から見える

ほぼ暮れかけの街は、

死んだように人通りがなかった。

「言いたくないならいいけど。

 あの時、犬を探してたよね。

 犬種がわかるか?」

ヨースケは部屋から出るあいだ、

しゃべらなかっただけだが、

ヨーコは誤解して

そのまま質問を変える。

「なんとかクレステッドドッグ、

 だったかな」
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