籠目 籠目
夜十一時 ―――。


いい加減銭湯から出た。

ずっと銭湯にいるのは
誤った選択だと思った。

人通りが少ない。

辺りに人が全くいない。


びくびくしながら
周りに気を集中して、
家まで帰る道のりを歩く。





キョロキョロと
辺りをよく見渡す。

店の窓ガラスに
自分が映っていた。

その後ろに、
また誰かいる。

今度はわかった。
遠い位置にいるが、
あれは女の人。


由美かどうかはわからない。

すぐさま後ろを振り返る。

だがそこには誰もいない。
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