泣き虫Rocker
「新曲だもんなー、園田ならそう言うと思った。Kみたいに俺のソロはねぇけど、惚れるなよー」
冗談っぽく投げかけた言葉に、言い返してやりたい。
ぐぅ、とのどの奥を鳴らして言葉を飲み込んだあたしを見遣って、3人は笑う。
「もう惚れ込んでるよ」
「あ、そっかKishのファンだしな」
フォローしてくれたのか、井之村さんの言葉にも見当違いの返事。
あたしは、その背中にハイキックをかましてやった。
「んじゃ、またあとで」
痛がるギタリストを置いて、3人はあたしに手を振るから、あたしも文句をつらつら並べるイチキを無視して手を振った。
差別だ差別、とブツブツ言いながら階段をのぼっていく。
スタッフが最終調整を始め、アンプからギター音が鳴る。
視線を彷徨わせて柳さんを探す。あたしが探し出す前に、右手から園田ちゃんと呼ばれた。
顔を向けて、頭を下げたあたしはライヴハウスを出た。
すでに出来始めた列に並ぶために。
冗談っぽく投げかけた言葉に、言い返してやりたい。
ぐぅ、とのどの奥を鳴らして言葉を飲み込んだあたしを見遣って、3人は笑う。
「もう惚れ込んでるよ」
「あ、そっかKishのファンだしな」
フォローしてくれたのか、井之村さんの言葉にも見当違いの返事。
あたしは、その背中にハイキックをかましてやった。
「んじゃ、またあとで」
痛がるギタリストを置いて、3人はあたしに手を振るから、あたしも文句をつらつら並べるイチキを無視して手を振った。
差別だ差別、とブツブツ言いながら階段をのぼっていく。
スタッフが最終調整を始め、アンプからギター音が鳴る。
視線を彷徨わせて柳さんを探す。あたしが探し出す前に、右手から園田ちゃんと呼ばれた。
顔を向けて、頭を下げたあたしはライヴハウスを出た。
すでに出来始めた列に並ぶために。