泣き虫Rocker
Rocker
額から垂れる汗を拭きながら、ライヴの興奮が未だに冷めずにいる。
一回だけじゃあどうしても聞き取れない歌詞も、ところどころ聞こえた。
それから推測すると。
青臭いRocker。
初っ端からどこかで聞いたことある内容に、飛び跳ねることも忘れて、周りに迷惑をかけてしまった。
慌てて、詰め寄る観客の塊を抜けて後ろの壁まで後退した。
思わず、信じられない目でメンバーを見てしまった。
ピックを持った右手でマイクを掴んだ井之村さんが、ハコの中を右から左へと目を泳がせて、あたしの方で止めて、微笑んだ。
――どーもありがとー
拡張された声がハコの中で響く。
曲に乗って飛び跳ねた観客よりも、何よりもステージに立つメンバーの方が汗まみれだ。
伝い落ちる雫を拭くことなく、6曲を弾き終えたメンバーは満足そうな表情を浮かべている。
壁に寄りかかるあたしからもはっきりと見える表情。
ライヴハウスのいいところ、とあたしは思う。
メンバーと観客の距離が近い。
近い、近いから
止まらない。
自分で、止めることが出来るわけがない。
額から垂れる汗を拭きながら、ライヴの興奮が未だに冷めずにいる。
一回だけじゃあどうしても聞き取れない歌詞も、ところどころ聞こえた。
それから推測すると。
青臭いRocker。
初っ端からどこかで聞いたことある内容に、飛び跳ねることも忘れて、周りに迷惑をかけてしまった。
慌てて、詰め寄る観客の塊を抜けて後ろの壁まで後退した。
思わず、信じられない目でメンバーを見てしまった。
ピックを持った右手でマイクを掴んだ井之村さんが、ハコの中を右から左へと目を泳がせて、あたしの方で止めて、微笑んだ。
――どーもありがとー
拡張された声がハコの中で響く。
曲に乗って飛び跳ねた観客よりも、何よりもステージに立つメンバーの方が汗まみれだ。
伝い落ちる雫を拭くことなく、6曲を弾き終えたメンバーは満足そうな表情を浮かべている。
壁に寄りかかるあたしからもはっきりと見える表情。
ライヴハウスのいいところ、とあたしは思う。
メンバーと観客の距離が近い。
近い、近いから
止まらない。
自分で、止めることが出来るわけがない。