泣き虫Rocker
縁が切れちゃったしなぁ、と。
公式ブログをみてもKishの日常は変わらず続いている。見えない部分で関わっていたあたしは、居なくてもなんの変化もない。
ずれてきたイヤホンをはめ直して、歩を進めたとき、あのときのように微かに叫び声が聞こえた。
「園田っ!」
イヤホンを片耳だけ外して、振り返る。これもあのときと一緒。振り返った先にいた男も同じ。
「それって……」
イチキが目を離さずにそう呟いた。何を見ているのかと視線を辿れば、イヤホン。
その小さなイヤホンから漏れる音は、KishのRocker。
あたしは慌てて、停止ボタンを押して音を消した。こういうときに限って、間が悪い。
バツが悪く、イチキと目があわせられない。なに、と不機嫌に聞いた。
「今いい? ちょっと、時間頂戴」
「……次があるし、歩きながらなら」
力強く、1回だけ頷いたイチキがあたしの横を並んで歩く。
「園田がRocker嫌いなのって、友情を題材にした歌詞だから? ってことで間違いないんだよな? ジンさんがそう言うんだし」
イチキもそれなりに考えてきたらしい。何の返答もせずにただただ歩く。片耳だけ外したイヤホンが歩くたびに揺れる。
公式ブログをみてもKishの日常は変わらず続いている。見えない部分で関わっていたあたしは、居なくてもなんの変化もない。
ずれてきたイヤホンをはめ直して、歩を進めたとき、あのときのように微かに叫び声が聞こえた。
「園田っ!」
イヤホンを片耳だけ外して、振り返る。これもあのときと一緒。振り返った先にいた男も同じ。
「それって……」
イチキが目を離さずにそう呟いた。何を見ているのかと視線を辿れば、イヤホン。
その小さなイヤホンから漏れる音は、KishのRocker。
あたしは慌てて、停止ボタンを押して音を消した。こういうときに限って、間が悪い。
バツが悪く、イチキと目があわせられない。なに、と不機嫌に聞いた。
「今いい? ちょっと、時間頂戴」
「……次があるし、歩きながらなら」
力強く、1回だけ頷いたイチキがあたしの横を並んで歩く。
「園田がRocker嫌いなのって、友情を題材にした歌詞だから? ってことで間違いないんだよな? ジンさんがそう言うんだし」
イチキもそれなりに考えてきたらしい。何の返答もせずにただただ歩く。片耳だけ外したイヤホンが歩くたびに揺れる。