泣き虫Rocker
「じゃあ、さ」
イチキが立ち止まる。歩き続けてもいいはずなのに、あたしも律儀に立ち止まる。
向かい合って、じっとイチキの言葉を待った。
「っ……ごうのいいほうにとっていいわけ?」
中途半端に聞こえた言葉には? と疑問を飛ばす。
なんて言ったのか分からないし。
「ごう? なんて? 聞こえなかったんだけど」
「あぁ! もうだめだー。もう1回なんて言えるかっ! 恥ずかしすぎて死ねるっ!」
髪をぐちゃぐちゃに掻き混ぜて、頭抱え込んだまましゃがみ込んだイチキにますます訳が分からなくなったあたしは、どうしたの、と近寄って同じようにしゃがみ込んで目線をあわす。
「や、もういい。ジンさんから伝言。兄は寂しいから顔出しにおいでって」
イチキが話し終えると同時にチャイムが鳴って、んじゃ、とさっさと走り去ってしまった。
訳が分からず、呆然としたあたしを置いて。
とりあえず、以前と同じようにKishのメンバーの中に入れてくれるらしい。
イチキの不自然な行動は置いておいて、あたしはプレイボタンを押して、Rockerを最初から聞き直した。
END
イチキが立ち止まる。歩き続けてもいいはずなのに、あたしも律儀に立ち止まる。
向かい合って、じっとイチキの言葉を待った。
「っ……ごうのいいほうにとっていいわけ?」
中途半端に聞こえた言葉には? と疑問を飛ばす。
なんて言ったのか分からないし。
「ごう? なんて? 聞こえなかったんだけど」
「あぁ! もうだめだー。もう1回なんて言えるかっ! 恥ずかしすぎて死ねるっ!」
髪をぐちゃぐちゃに掻き混ぜて、頭抱え込んだまましゃがみ込んだイチキにますます訳が分からなくなったあたしは、どうしたの、と近寄って同じようにしゃがみ込んで目線をあわす。
「や、もういい。ジンさんから伝言。兄は寂しいから顔出しにおいでって」
イチキが話し終えると同時にチャイムが鳴って、んじゃ、とさっさと走り去ってしまった。
訳が分からず、呆然としたあたしを置いて。
とりあえず、以前と同じようにKishのメンバーの中に入れてくれるらしい。
イチキの不自然な行動は置いておいて、あたしはプレイボタンを押して、Rockerを最初から聞き直した。
END