いつか、どこかで、誰かが望んだ永遠
二章 日常茶飯事
「こうして、私達は火水地風をベースとした神術を使える事ができるようになりまし……そこおっ!」
とある一室、規則的に並べられた机の合間を縫うように、
20代後半の女性が教科書を片手に闊歩していたが、
直感的に後ろを振り向くと、ストックのチョークを投げ放つ。
チョークに風を纏わせ、殺傷力こそ抑えているが、
それでも、眉間にでもヒットすれば相当の痛みを与えるだろう。
そんなチョークは机に教科書を立てて、
その裏で気持ち良さげに寝息を立てて眠る男子生徒の額に命中した。
「!!」
凶弾の被害にあった少年は声もあげず、首が凄い勢いで反り返る。
周囲の生徒が変な音を聞いたのも、幻聴とは言い切れないかもしれない。
「まったく。毎度のように居眠りしやがって、いい加減に学習するんだね!」
キーンコーンカーンコーン……。
女教師が呆れるのと同時に終業の鐘が鳴り響く。
「今度、居眠りしてみな!次は容赦しないよ!」
グッタリとしている男子生徒に吐き捨てると、その足で教室を後にした。