ピアスに秘めた想い
それに金額を言って、すぐに払える金を桃香は持ってねえだろうが

それとも小花のときみたいに体で稼ぐつもりかよ

俺、そういうの許さねえ

「いらねえよ」

「でも…駄目ですよ
お金ですよ?」

「貧乏人くせえこと言ってんじゃねえよ」

「び…貧乏人ですから!」

「今は違うだろ」

「でもいけません」

そういえば強情な女だった…な、こいつは

「クッキー」

「え?」

「クッキーを焼いてよ
それで学費はチャラだ」

「は?」

桃香が目を丸くした

「全然、足りないじゃないですか?
釣り合いが取れてないですよ」

「いいんだよ」

俺はそれだけで十分なんだ

桃香が、俺のためにクッキーを焼いてくれた

それだけで、いいんだ

誰かが俺のために作る

『愛』がこもったモノを見られるだけで、俺はいいんだ

金額なんか関係ねえ

『愛情』は金で買えねえから

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