ピアスに秘めた想い
本当はキスも嫌だったのかもしれない

必ず拒んだから

クレアの細い肩がふるえるんだ

俺とキスしている間

だからその先には進めなかった

愛って難しい

こんなに愛しているのに、触れ合うのにだって気を使って

胸の奥が苦しくなる

「勇人、愛してる」

唇が離れると、クレアが小声で囁いた

「俺も」

「息子と年も変わらないのに、どうして……
勇人はずるいわ」

「ずるいのはクレアのほうだよ」

もっと早くに知り合っていればよかったのかな?

クレアが独身で、俺がもっと大人だったら…

好きな時間に会って、好きなことができたのかもしれない

だけど

現実は違うから

クレアは九条 克海の妻で

俺は12歳の子供だ

好きな女を守れる力もない

ここから出してやる! ついて来い…なんて強気なセリフも言えない

こんなに愛しているのに

クレアの全てを奪うことはできないんだ

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