PLAY-ROOMS
 それにしてもこの雛菱明日香という女、付き合えば付き合うほどに変わった奴である。まあ、初対面の男にあんなことを言うくらいだからまともな奴だとは初めから思っていないのだが。
 こいつと出会って、こいつのご主人様とやらになって、はや三日。どうにも調子が掴みにくい奴である。
「お前さ。奴隷とかって言ってたけど、あれって本気か?」
 何か、聞いておかなくちゃいけない気がして、明日香の背中に話しかけていた。汗はまだ引いておらず、下着の線が丸見えだ。
「本気かって、当り前じゃないですか。何言ってるんですか、今更」
 そう言いながら振り返った明日香の眼は、どこか知らない世界の、そう宇宙人のような印象を受けた。
「そ、そうだよな。すまん。でもさ、奴隷ってその。ほらやっぱり、健全な男子高校生としてはそんな感じのことも考えてしまうわけで」
 もはや何を言ってるかわからなかったし、それが何の期待を込めた言葉だったのかも分からない。俺は、明日香に何と言ってほしかったのだろう。
「ああ、なるほど。ええ、構いませんよ」
「か、構わないって・・・・・・」
「ですから、何をしてもらっても構いません。ご主人様が命じられるなら何でもしますし、逆にご主人様が私に何をしようが自由です」
「それって、つまり」
「そうですね。あえて男子高校生風に言うなら、私を性奴隷だとか肉奴隷だとか、そんな感じに扱ってもらって特に問題はありませんよ」
 あっけらかんと、まるで「お茶くみでもしましょうか」とか言い出しそうな感じで明日香は言った。なにやら、後頭部を鈍器で殴られたかのような感覚が襲う。現実がフィクションに侵食されるような、そんな感覚だ。
「まあでも。奴隷っていっても、最低限の人権はあるんで。そうですね、衣食住くらいは確保していただけると助かりますかね。小説じゃないんですから、白濁したタンパク質だけでは私は生きていけませんし」
「って! ちょっとまったあ!!」
 たまらず声を張り上げていた。とりあえず、頭を今の会話の段階まで追い付かせる。・・・・・・だめだ、理解できない。こいつは何を考えているんだ。そういう性癖でもあるのか。
「あのさ、一つ聞いていいか」
「なんです?」
「その、お前って甚振られたりされるのが好きな人種の人?」
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