嘘で隠された現実(リアル)
来たときと条件は変わらないはずなのに、今の校舎はそのとき以上に閑散とした雰囲気だ。

足を進めるたびに、小さな足音が大きく響く。

自分の足音に耳を支配されながら、俺は少しずつ足を速めていった。


ガラッ


「悪いな、天音。かなり遅くな‥天音?」

俺は教室に足を踏み入れ、立ち止まった。

「寝てんのか?」


窓側の席に座っている天音は、机に伏せた状態で眠っているようだ。


俺は、物音を立てないように近付いた。

天音の髪の合間からは、歌詞ノートらしきものが見える。

ペンは、床に落ちていた。


「だから、携帯に連絡が来なかったのか…」
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