嘘で隠された現実(ﾘｱﾙ)

「ごめんね、皆さん。火月が教えたくないみたいだから、俺はこのまま帰らせてもらうよ」


「え‥カヅキ？」


星が思わず、といった様子で呟いた。

それを見て、水月が笑う。


「あ、そっか。ごめん、ごめん。間違えた」

水月は俺に向き直り、ニッコリと微笑んだ。

「それじゃぁね？シュヅキ？」


水月は、去って行った。

俺は、それを見送ることなどしなかった。


「何だったんですか？いったい」


すぐ傍で、呟くような響の声がする。

その言葉は、俺に向けられた質問だったのかもしれない。

だが、俺には何も言うことができなかった。


やり場の無い怒りと戸惑いを、俺は睨みつけることで、地面にぶつけていた。

それが、今の俺にできる、精一杯の我慢だった。