嘘で隠された現実(リアル)
「今だ、馬鹿」

瞬輝くんは下がってきた眼鏡を直しながら、機嫌悪そうに呟いた。

「まさかお前、その格好で授業に出る気じゃないだろうな?」


「だったら何かしら?瞬輝くん?」


彗ちゃんは当然のことのように、ニッコリと微笑んだ。

自負しているだけあって、微笑む彗ちゃんは確かに可愛い。

何処から見ても女の子にしか見えない‥というのは、はたして褒め言葉になるのかどうか…。


「‥五月蝿くして悪かったな、馬鹿は連れて行く」

瞬輝くんはそう言って、彗ちゃんの首の後ろ部分の襟を掴んだ。


「ちょ、てめぇ何すんだよ!おい、こら瞬輝!早く離せ!!」


彗ちゃんはジタバタと暴れるが、自分より8cmも身長がある瞬輝くんには敵わないようだ。

まるで仲の良い兄弟のような2人のやり取りに、私は思わず笑ってしまった。


「彗‥五月蝿いから喚かないでよね」


「神楽ちゃんまで酷くない!?」

彗ちゃんは、はぶてたように頬を膨らませた。
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