嘘で隠された現実(リアル)
「ありがと」

幸矢さんは、笑顔でそれを受け取った。

「仕事、中断させられちゃったんだ。突然飲み会することになっちゃってさ。だから少しだけ顔出して、逃げて帰ってきた」


幸矢さんは、笑いながらそう言う。

その笑顔に嘘はないから、幸矢さんは飲み会に興味がなかったのだろう。

だが、それを聞かされた俺は苦しくなる。

何故なら、幸矢さんが帰ってきた理由に、必ず俺の存在があると判るからだ。
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