嘘で隠された現実(リアル)
「ええ、そうよ。私は誰より水月を理解してるわ。貴方なんかよりも、よっぽどね。彼が本心を言えるのは私だけ。だからきっと彼を説得できるのは‥彼を救えるのは私だけだって、そう自負してた。でも…」

立花さんは再びタバコを咥え、そしてため息を付くかのように、長い煙を吐き出した。

「それは自意識過剰だったのかもね。水月が私に求めたのは、救いなんかじゃなく、別の役目だった」


立花さんは、左手で鞄の中から白い封筒を取り出した。

そして、それを投げるようにして、机の上へと置いた。
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