嘘で隠された現実(リアル)
「水月はね、「後のことは、全て郷花に任せる。郷花にしか頼めない」ってそう言ったの。悔しいけど、そう言われると、コレを受け取るしかなかったわ」

そう言って、立花さんは本当に悔しそうに白い封筒を睨んでいた。

「私にはもう、どうすることもできないのよ。もう‥貴方にしか頼れない…」


「できるわけない‥俺は、アイツを恨んでるんだ…」


「判ってるわ、そんなこと」


立花さんは落ち着きを取り戻したように、静かに呟いた。

慣れた手つきで、灰皿の中へとタバコの灰を落とす。

そして少し短くなったタバコのフィルターから、煙を大きく吸い込んだ。
< 214 / 331 >

この作品をシェア

pagetop