嘘で隠された現実(リアル)
「朱月、もういいじゃん。彗ちゃんだって反省してるんだし‥そんなに悪いことでもないでしょ?女装って…」


語尾で音量が小さくなってしまった理由は‥この際無視することにした。


「反省、ね‥どう思う?瞬輝」


「今だけだな」

突然話題を投げかけられた瞬輝くんは、間髪入れずに呟いた。


「だろうな」

朱月は小さく肩を竦めた。

「ったく…。瞬輝、お前が居ながら、何でこんなことになってんだよ」


「俺は一度忠告した。それ以上の努力が無駄だと判っていて、何故その努力を俺が?」


「なるほどね…」

朱月は、妙に納得した様子で頷いた。


「過ぎたことを言っても仕方ないと思うけど?」

それまで全く会話に参加していなかった星が、あくまで笑顔のまま、しかし面倒そうに呟いた。

「私達は、ここに何しに集まったんだったっけ?練習しないなら帰らせてよね。天音、行こうよぉ。車呼ぶから送ってってあげる。あ、それともこのまま遊びに行く?」
< 22 / 331 >

この作品をシェア

pagetop