嘘で隠された現実(リアル)
「俺さ、火月のことが、すごく好きだったんだ」


「そう…」

俺とは対照的に、立花さんは落ち着いた様子だった。


「まるで親友みたいな感じでさ。でも、いたずらばかりする火月は目が離せなくて‥やっぱり可愛い弟だった」

水月は、少しだけ顔を上げた。

「ずっとそのままの関係でいられるはずだったんだ。俺が気付きさえしなければ…」


顔を上げた水月はどこか遠くを見ていた。

いや、包帯で目を覆われているのだから見えるはずはないのだが、何故か俺には、そう思えて仕方がなかった。
< 224 / 331 >

この作品をシェア

pagetop