嘘で隠された現実(リアル)
2人で帽子を探して、それを木の上に見つけた俺は、水月が止めるのも聞かずに木に登った。

そして、落ちた。

目が覚めたとき、俺は病院に居た。





「‥から落ちた。あの日は風が強かったから…。血が出ていたわけじゃなかったけど、ぐったりしてる火月を見て、俺は唖然と立ちすくむしかなかった。それからすぐに両親が来て、大騒ぎになった。父さんは必至に火月に呼びかけていたよ。でも母さんは‥火月が握っていた帽子を目にした瞬間、俺を見たんだ。何を言うわけでもなく、ただ‥青ざめた顔で、俺を見ていた」

水月は、何かから自分を守るかのように、右手で強く左腕を掴み、自分の身体をさり気なく包み込んだ。
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