嘘で隠された現実(リアル)
「怪我は大したことなくて、火月はすぐに目を覚ました。俺は元気な火月を見てホッとしたけど‥どうしても母さんのあの目が、忘れられなかった。まぁ、その理由はすぐに判ったんだけどね…」


「理由って?」


立花さんがそう尋ねると、水月は少し間を置いて、自嘲的な笑みを口元に見せた。


「その日の夜、俺はたまたま夢見が悪くて夜中に目を覚ました。いや‥今思えば、それはたまたまなんかじゃなく、必然だったのかもしれないな…」


「いったい、何があったって言うの?」

立花さんは、痺れを切らしたように先を急かした。
< 227 / 331 >

この作品をシェア

pagetop