嘘で隠された現実(リアル)
「何か飲もうとして台所に向かっていた俺の耳に、聞こえてきたんだよ。リビングから、両親の会話が…」




「何を言ってるんだよ、今更。現にお前は言ってただろ?水月が自慢だと。自慢の息子だと」


「ええ、言ったわ。今でもそう思ってるわよ!あの子は優秀だし、優しいし、火月を可愛がる良い子だわ」


「だったら何を…」


「理屈じゃないのよ!今日、火月が水月の帽子を持ってぐったりしている姿を見て‥私は言い表せないほどの恐怖を感じたわ」


「だから、あれは水月が取らせたわけじゃないだろ?火月が勝手にやったんだ。水月はそれを止めた。火月自身が、そう言ってただろ?」


「そんなこと、火月に訊く以前に判ってる。そういうことじゃないのよ…」


「だったら何だって言うんだ!」


「水月が原因で火月が怪我をした‥その事実だけで、私は水月の存在が怖くなったのよ。たとえそれが、水月のせいではないと判っていても…。頭では判ってるのに、感情がついていかない‥理屈じゃないの」


「お前…」
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