嘘で隠された現実(リアル)
「驚いた?まぁ火月より俺の方が良いって気持ちも、判らなくはないけど‥本当に迷惑だよ。本当はこんな話するのも嫌だったんだけど、火月のために仕方なくね」


「俺の‥ため…?」


俺は沸き上がってきた怒りを必死に抑えることで、何とか正気を保っていた。


「そうだよ?だってこれで、告白なんて馬鹿な真似しないだろ?良かったね。大恥かかなくて済んで」


「っ!水月っ、てめぇ!!」


俺は、それ以上の怒りを抑えることができなかった。

このときは、何に対して『怒り』という感情を抱いていたのか定かではなかったが、今ならはっきりと言える。

俺は、上田さんのことを悪く言われたから、怒ったわけではない。

上田さんが水月を好きだったからでも、その事実を水月に教えられたからでもない。


ただ、許せなかったのだ。

普段あれだけ優しい水月が、俺を馬鹿にしたように話すことが‥見下したような、冷たい視線を向けてくることが…。
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