嘘で隠された現実(リアル)
やはり‥そうなのか…?


ほんの少し前までは、俺の拳を避けた水月が誤って階段から落ちたのだと、そう思っていた。

だが、ここまでくれば疑問が生じる。

俺も、水月がわざと階段から落ちたのではないかと、感じるようになっていた。


「それほど高い階段ではなかったけど、命懸けだった。打ち所が悪ければ、死んでたかもしれないしね。でもそれは、俺にとってはリスクの無い賭けでもあったんだ。たとえそのまま死んだとしても、それはそれで‥楽になれるから」


「ねぇ、水月」

立花さんは俺に振り向き、それから少し間を置いて言葉を繋いだ。

「貴方の口から教えて?どうして殴り掛かってきた弟の拳を避けて、自分から落ちたの?そのまま殴られていれば、もっと楽に落ちることができたでしょう?後ろ向きに自分からなんて‥普通に考えたら、小学生なんかにできないわ」
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