嘘で隠された現実(リアル)
「おっし!んじゃ、まずは朱月がギターで弾くコードに合わせて、歌詞のせてみようぜ。その雰囲気みてから、アレンジ考えっからさ!いきなりだけど、神楽ちゃんならいけるよな!?」


「誰に言ってるわけ?当然よ」


「えっ、今日って新曲やるんですか?なら、俺や瞬輝先輩はすることないじゃないですか…」

響はショックを受けたように、大げさなくらい肩を落とした。

「俺、久々に合わせるんだとばかり思って、すっごい楽しみにしてたんですよ?」


「そんなこと言うなよ。お前も協力してくんなきゃ、即効でアレンジなんてできねぇんだからさ。早く皆で合わせるためにも、協力しろって!」


「判りましたよ」

響は目を伏せながらも、諦めたように頷いた。

「ところで彗先輩、その姿でその口調、やめてもらえません?鳥肌立っちゃいそうなんで」


「なっ‥相変わらず可愛くねぇな、お前!」


「彗先輩に可愛いなんて言われたら、俺、過ごしてきた人生後悔しますよ」


「なんだと!?お前みたいな失礼なヤツ他に居ねぇ!!」


「そうですか?」

響はわざとらしく首を傾げた。

「少なくとも、瞬輝先輩は俺と同じ意見だと思いますけど…。ですよね?瞬輝先輩」


「‥判りきってることに、わざわざ答える必要が?」


「だそうですよ?」


「お前ら…」


「こら響、調子に乗りすぎ!彗ちゃんは先輩でしょ?言葉を改めなさい!」

今にも怒鳴り出しそうな彗ちゃんに気付き、私は慌てて傍観者から仲裁者に役割を変更した。


「やっぱり天音っちはアタシの見方よね?」


先程の怒りを忘れてしまったかのように、彗ちゃんがとびっきりの笑顔を見せると、一方で響は、不満そうに眉間に皺を寄せた。
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