嘘で隠された現実(リアル)
「なぁ、天音。俺さ、バンド抜けることにした」


「‥え…?」


こんな情けない声でさえ、発するのには時間が必要だった。

意味が判らない。

何故、そんな言葉が出てくるのか。

何故そんなことを、微笑んで言えるのか…。


「正確には、バンドだけじゃねぇんだけどな。学校も辞める」


「何それ‥ねぇ、どうして!?何で急にそんなことっ!」

私は立ち上がり、朱月の腰掛けているブランコを揺すった。

「意味判んないよ!ちゃんと理由を説明して!」


「何で?俺のことなのに、何で天音に説明しなきゃなんねぇの?」


「‥朱月?」


私は、ゆっくりとブランコから手を離した。


拒絶されたような気がしたのは、決して気のせいではないだろう。

「お前に言いたくない」と言われたわけではないのに‥私には、そうとしか思えなかった。
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