嘘で隠された現実(リアル)
それにしても、あの話が水月という人の考えたものであったことには驚いた。

しかし、2人は仲が悪かったはず。

2人の関係をよく知らない私でも、2人はお互い嫌い合っていたように見えた。

そんな嫌いな相手がした話を、自分からするだろうか?


「俺じゃねぇんだよ、あの話は…」

朱月は、呟くように言った。

「天音はあの話気に入ってたみたいだったからさ。誰が考えた話かは、教えといてやろうと思ってな」


その言葉を聞いた瞬間、私はハッとした。


まさか、朱月は…。


「何で?何で突然そんな話…」


「だから、教えてやろうと思って。だって騙してるみたいで気分悪いじゃん。俺は話を考えたヤツ知ってるんだから、天音には教えるべきだろ。たとえ、俺がそいつのことを嫌いでも…」


パンッ


突然、静かになる公園。


「痛ぇな」

ポツリと、朱月が呟いた。
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