嘘で隠された現実(リアル)
「突然練習に参加しなくなって、迷惑掛けたと思ってる。悪かった。それだけは伝えたかったんだ」


「朱月…」

私は、思わず呟いていた。


その朱月の表情を見て、漸く判ったような気がした。
朱月が学校を辞めること、そしてアメリカに行ってしまうことは、彼の決意の大きさを表しているのだと…。


私には、その決意が何であるのかは判らない。

きっとどれだけ尋ねても、教えてはくれないのだろう。

たとえ、私が朱月の特別になれていたとしても、教えてもらうことは叶わなかった気がする。

そう思いたいだけなのかもしれないが‥そう思えてならないのだ…。


もう、諦めてあげようと思った。

いや、今度こそこの想いから、朱月を開放してあげなければいけないような気がした。


自分のために諦めることを選んで、それでも諦めきれなくて、そのせいで辛い想いもしたけれど、朱月と出逢ったことを後悔などしていない。

後悔など、できるはずがない。


朱月とのあの再会は、私のシアワセだった。

だから、私の想いをぶつけて、そのせいで朱月を苦しませるわけにはいかない。

朱月が私を想ってくれなかったことは、仕方のないことなのだから…。
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