嘘で隠された現実(リアル)
私のこの想いを、否定した朱月。

それは朱月が、私の想いを否定したかったということ。

朱月にとって、私の想いは、喜ぶべきものではなかった。

それならば、朱月の望み通りにするために、私は嘘を付く。

今度は朱月のために、嘘を付く。

朱月とお別れをするその日まで、現実は嘘で隠してあげる。


「それなら、最後に思い出作るのも悪くないよね?ライブやらない?今月の終わりに」


「あ、天音?」


「天音っち、マジで言ってんの?」


星も彗ちゃんも、驚いたのか、勢いよく私に顔を向けた。

彗ちゃんはともかく、星がこれほど驚くことは珍しいので、私は不謹慎ながらも、僅かに優越感を得ることができた。
< 263 / 331 >

この作品をシェア

pagetop