嘘で隠された現実(リアル)
「あ、朱月。ピザまんは買えないからね?」


「‥何でだよ?」


小さな声で、朱月が呟く。

好きなピザまんが駄目だと言われて、かなり不服そうだ。


「ここは学校。匂い充満しちゃうと、後々面倒でしょ?」


「‥じゃ、肉まん」


「あんまり変わんない気がするんだけど…」

声は出さずに、こっそりと笑った。

「適当に買うことにする」


「そうよぉ、天音。柳の希望なんて、どぉでもいいんだから」


「そうだっ!」


「お前ら…」

朱月は星と彗ちゃんを交互に見て、「ムカつくっ!」と声を大きくした。


「はいはい。遅くなるから行くけど、皆は練習真面目にね」


まだ言い合いをしている状況では、期待する返事は聞こえて来なかった。

しかし、私の笑顔は耐えない。


数週間前まで当然だったこの雰囲気を、懐かしく感じたからだろうか。

皆の言い合いの会話さえ、とても愛しい、そう思えた。
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