嘘で隠された現実(ﾘｱﾙ)
「一時帰国はするつもりです。でもそれ以外では、もう戻ってきたくないと思ってます」


「何でだ？」


「俺、前に言いましたよね？「決着つけて、無理なことからは早々に逃げる」って」


「‥決着が、着いたってことか」


「はい。思ってもみない結果でしたけどね」

自然と、笑みがこぼれた。

「俺、そのこと１人にだけは、話したんです」


「へぇ‥意外だな。お前は絶対に、誰にも言わないだろうと思ってたんだが」


「こんな結果でなかったら、話さなかったはずですけどね。けど、全部話したわけじゃないんです」


「それを、俺に話したいってか？」


「‥さすがです」

俺は、そっと目を伏せた。

「神楽との会話を盗み聞きしてた黒雨さんなら、気付いたかもしれませんけど、俺、天音が好きなんです」


「嫌な言い方するなぁ」

黒雨さんは一度顔を上げ、軽く頭をかいた。
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表紙・目次

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