嘘で隠された現実(リアル)
「まぁ、天音ちゃんのことは、何となくそうだろうとは思ってたけどな」
「天音に対して初めて抱いた印象は、『変わったヤツ』でした。けど、一緒に居ると、楽だった。ずっと隣に居てほしい‥そう思ってしまうほどの存在になった」
「隣に‥ね」
黒雨さんは、独り言のように呟いた。
「けど、突然天音は、俺から離れていったんです。俺には、その理由が判らなかった。だから、何もできなかった。天音から離れていったのは、認めたくないけど事実だったから、理由も判らない俺が、天音を追うなんてできなかった」
俺はカウンターに置いた自分の両手を見つめ、自嘲した。
「いえ、それはきっと言い訳です。本当は自分から近付いて、拒絶されるのが怖かったのかもしれない…。天音とクラスが分かれてから、中学に上がってからも、俺は天音を気にしてました。天音に気付かれてはいなかったはずですが、遠くに見える天音の背中を目で追ったのは、一度や二度じゃない。けど、天音と接点がなくなって、良かったとも思ってたんです。天音の存在は、俺には恐怖も与えていたから…」
「恐怖?」
「天音に対して初めて抱いた印象は、『変わったヤツ』でした。けど、一緒に居ると、楽だった。ずっと隣に居てほしい‥そう思ってしまうほどの存在になった」
「隣に‥ね」
黒雨さんは、独り言のように呟いた。
「けど、突然天音は、俺から離れていったんです。俺には、その理由が判らなかった。だから、何もできなかった。天音から離れていったのは、認めたくないけど事実だったから、理由も判らない俺が、天音を追うなんてできなかった」
俺はカウンターに置いた自分の両手を見つめ、自嘲した。
「いえ、それはきっと言い訳です。本当は自分から近付いて、拒絶されるのが怖かったのかもしれない…。天音とクラスが分かれてから、中学に上がってからも、俺は天音を気にしてました。天音に気付かれてはいなかったはずですが、遠くに見える天音の背中を目で追ったのは、一度や二度じゃない。けど、天音と接点がなくなって、良かったとも思ってたんです。天音の存在は、俺には恐怖も与えていたから…」
「恐怖?」