嘘で隠された現実(リアル)
「ホントは、揺らいだんです。いつまでも過去に囚われてないで、これからを見てもいいんじゃないかって…。けど、駄目でした。やっぱり、過去は消せなかった。だから、過去のことがある限り‥せめて決着でも着かない限り、俺は絶対天音に本心を言えないんだと痛感しました」
「そうか…」
「けど、それも間違いだったんです」
「は?」
黒雨さんの呆けた声に誘われるようにして、俺は笑った。
自分でも、言っていることがよく判らなくなったからだ。
「思いがけない事実を知ったんです。そのせいで、俺の譲れないモノは、見事に崩れてしまった。それが、決着の瞬間でした」
「あーもしかして、決着はついて、譲れないモノもなくなったけど、天音ちゃんに想いは告げられない‥ってことか?」
「正確には、また、譲れないモノができてしまったんです。過去をただの思い出にするためには、絶対に譲れないんです」
「天音ちゃん、何も知らないんだよな?」
「知りませんよ。何も‥ね」
「少し、可哀想だな」
黒雨さんは悲しそうに呟き、取り出したタバコに火を付けた。
「そうか…」
「けど、それも間違いだったんです」
「は?」
黒雨さんの呆けた声に誘われるようにして、俺は笑った。
自分でも、言っていることがよく判らなくなったからだ。
「思いがけない事実を知ったんです。そのせいで、俺の譲れないモノは、見事に崩れてしまった。それが、決着の瞬間でした」
「あーもしかして、決着はついて、譲れないモノもなくなったけど、天音ちゃんに想いは告げられない‥ってことか?」
「正確には、また、譲れないモノができてしまったんです。過去をただの思い出にするためには、絶対に譲れないんです」
「天音ちゃん、何も知らないんだよな?」
「知りませんよ。何も‥ね」
「少し、可哀想だな」
黒雨さんは悲しそうに呟き、取り出したタバコに火を付けた。