嘘で隠された現実(リアル)
「皆、頑張ってね」


優しい声に誘われて、俺は天音に視線を向けた。


かなりの至近距離で、目が合った。

これほど近い距離で目を合わせたのは、かなり久しぶりだ。

数秒目を合わせた後、天音は一度目を閉じ、それからゆっくりと瞼を上げて微笑んできた。


「楽しんでね、朱月」


とても暖かなその微笑みを見ていると、俺も自然に笑みがこぼれた。
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