嘘で隠された現実(リアル)
すぐ隣で交わされている会話が、少しくすぐったい。

デビューの話は一度も来たことがないけれど、周りにはそう思われていたのかと、驚き以上に嬉しくなる。

それだけ、評価されているということだ。

私はステージには立てないけれど、私の歌詞を評価してくれている人が居ることを知り、嬉しく思った。

あの日、再会した朱月と言葉を交わしたときに、彼に詩を褒められたことを思い出した。


「このライブハウスは初めてなので、初めましての方も大勢居るとは思いますが、Star lieです。実は、私達Star lieは、今夜の演奏を最後に解散ということになりました」


星のその言葉で、会場がそれまでとは違うざわめきに包まれた。

驚きと戸惑いの声が、様々な方向から飛んでくる。

観客達が悲しんでくれていることは、私達にとって喜びでもあり、同時に悲しみでもあった。
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