嘘で隠された現実(リアル)
俺があの家を出て行くときに見た、アイツの顔。

車に乗り込む俺を、どこかホッとしたような表情で見送る姿。

あれは、俺が居なくなることを、心の底から喜んでいる顔だった。

常に一緒に居た俺には、皮肉なことに、それがよく理解できた。


あの優しさは、全て嘘だったのか…?

最後に見たアイツの表情がその疑問を肯定しているのに、何処かでそれを認めたくない自分がいる。

幸せだったあの頃の記憶が邪魔をして、俺を惑わせる。

裏切られたことは、明白だというのに…。


一番信頼していた人間からの裏切りは、言葉では表現できないほどに、俺を狂わせた。

そして俺の人生を大きく変えた。


一度狂ったモノが、再び元通りになることはあるのだろうか?

あるかもしれない‥けれど、俺はなくていい。


『元通り』なんて望んでいない。

ただ、別のモノも‥狂わすことさえできれば、それでいい。


俺だけなんて、許さない。


『シアワセ』なんて欲しくはない。

ただ願うのは、アイツの不幸…。
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