嘘で隠された現実(リアル)
「1ヶ月ぶりの再会なんでしょ?そんな話ばかりすることないじゃない」

突然、明るい郷花さんの声が響いた。

「水月、朱月くんはまだ忙しいみたいだし、先に私の相手をしてよ。私観光したいわ」


「え?観光って、郷花は何度もアメリカ来てるだろ?」


「あら、いいじゃない。彼氏とは初めてよ?」

そう言って、郷花さんは水月の腕に、自分のそれを絡ませた。


「え…?あ、うん」

戸惑ったように、水月が頷く。


2人のやりとりで思わず振り返ってしまった俺は、少しだけ驚く。

時間の問題だろうとは思っていたが、本当に付き合っていたなんて…。


「マジかよ。いつから?」


「あら、水月。報告してくれてなかったの?半年前からよ」


「半年?そんな前から?」


責めるように水月を見れば、彼は気まずそうに目を逸らした。
< 312 / 331 >

この作品をシェア

pagetop