嘘で隠された現実(リアル)
「わざわざ報告するまでもないかと…」


「ふぅん。ま、別にいいけど」

責めるつもりはないので、祝福の意を込めて笑った。

「おめでと」


「あー‥うん」


「ありがとう」と 照れる水月の横で、郷花さんは嬉しそうに笑った。

やっと想いが通じた郷花さんは本当に嬉しそうで、とても綺麗だった。


「あ、そうそう、これお土産のケーキ。後で一緒に食べましょ?」


「ありがとうございます」

俺はケーキの箱を見て、軽く頭を下げた。


「どういたしまして。それじゃ、このケーキ冷蔵庫に入れてきて、水月」


「え、俺が?」


「ついでに車も回してよ。私は準備して、すぐ行くから」


「はいはい」


水月は渋々といった様子でケーキを受け取り、部屋を出て行った。


「‥ねぇ、朱月くん。実は貴方に、もう1つお土産があるのよ」


「え?」


郷花さんはニッコリと笑い、鞄から取り出した物を机に置いた。

CDのようだ。

俺はそれを持ち上げ、郷花さんを見上げた。


「何すか?これ」
< 313 / 331 >

この作品をシェア

pagetop