嘘で隠された現実(リアル)
「だから、お土産」

そう言って、郷花さんは一層笑みを深くした。

「いえ、お礼と言った方が正しいかしら?私、まだ貴方にお礼をしてなかったでしょ?」


「お礼?」


俺が首を傾げれば、郷花さんは大きく頷いて見せた。


「天音ちゃん‥だったかしら?あの子よりも水月を選んでくれたことへのお礼」


「‥っ!何で天音のこと!?」

俺は、驚きのあまり立ち上がった。


「私ね、真綺さんとは親しいの」


「真綺…?」


誰のことだ?

俺が頭を悩ませている傍で、クスッという笑い声が聞こえた。


「坂城 真綺よ。覚えてないのかしら?」


「‥?‥っ!!」


思い出した。

確か神楽の家に居た人だ。


「あら、思い出した?」


「‥でも、それと何の関係が?俺、その真綺さんには、何も言ってないはずですけど」


「真綺さんはね、怖い人なの。謎が多い人でもあってね。表向きは無関心、知らないフリを装ってるんだけど、本当は、『神楽 星』のことなら何でも把握しているわ。勿論Moon Blackのことも」


「なっ!」


俺の反応に満足したのか、郷花さんは楽しそうに、俺の耳元で囁いた。


「そう。真綺さんは黒雨って人と繋がりがあるのよ。咲黒‥朱月くんも知ってるのかしら?」
< 314 / 331 >

この作品をシェア

pagetop