嘘で隠された現実(リアル)
「水月を選んだのは貴方。天音ちゃんと水月の両方を選ぶことだってできたかもしれないのに、それでも水月を優先したのは貴方‥そうよね?」


「言われるまでもなく、判ってますよ」


「そうね。でも、今の貴方を見てると、責任を感じないわけにもいかないわ。だって、全ての事実を知るきっかけをつくったのは、私だもの」


「まぁ、そうですね」


「否定くらいしなさいよ、嫌な子ね」

そう言いながらも、郷花さんは機嫌良く笑った。

「私、水月にだけは、貴方と天音ちゃんとのこと知られたくないの。水月が責任感じるようなことだけは避けたいから…。でも、これは私の我侭。だから、少しでも貴方のために何かしたくなってね」


郷花さんは、俺が手にしているCDに視線を移した。

俺もそれにつられるようにして、CDを見つめる。
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