嘘で隠された現実(リアル)

あれから…

小学校3年生…



朱月と接点がなくなってしまった私は、目で追ってしまう自分を咎めながら、2年間の長い時間を過ごした。

同じクラスでは嫌でも朱月に視線を向けてしまう。

だから早く朱月から離れたい。

そのことを考えない日は、1日としてなかった。


願いが通じたのだろうか。

5年生になってのクラス替えで、私達は別々になった。

自分で願ったことではあるけれど、初めのうちは、気が付けば新しいクラスの中に、居るはずのない朱月の姿を捜していた。


決して朱月を忘れたわけではないが、それでも朱月を想う回数は少しずつ、確実に減っていった。

朱月の居ないクラスに慣れ、生活に慣れた。

中学も同じだったけれど、一度も会話をすることなく、すれ違うことさえなく、3年間の中学生活を終えた。

だから、夢にも思わなかった。

まさか高校に入って朱月と同じクラスになるなんて…。


同じ高校であったことに驚いた。

そして久しぶりに朱月を目にして、色褪せたと思っていた想いが錯覚であったと気付かされた。

一度色褪せたモノが元に戻るはずがない。

そう、私の朱月への想いは、色褪せることなく、鮮明な色を保ったままだった。
< 34 / 331 >

この作品をシェア

pagetop