嘘で隠された現実(リアル)
「もしかしてさ、取りに来た?」


朱月は読んでいたノートを閉じ、私に見せてきた。

それは間違いなく私のノート…。


「そ、それあたしの‥返してっ!」

私は慌てて朱月に駆け寄り、彼の手から奪うようにしてノートを取り上げた。


「なぁ、それって天音が書いたやつ?」


自分の耳を疑った。

天音‥そう呼んだのだろうか?

あの頃のように…?

私は目を見開いて、朱月を見上げた。


「何で驚いてんだよ?ああ、勝手に中見たのは悪かったって」

朱月は、多少後ろめたそうに呟いた。

「で、それ、天音が書いたわけ?」


授業中に、頭に浮かんだことを書き綴った日記のような詩。

それを読まれたことに対しては、不思議と怒りも恥ずかしさも感じなかった。


「そう‥だけど…?」


「マジ?すげぇな。その詩読んで、ちょっと感動したぜ?」

そう言って、朱月は私が腕に抱えているノートを指差した。

「で、天音にちょっと頼みがあんだけど…」
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